思い立って偵察機のフレームを黒に塗装することに決めた。
公道用車両がするするっとコンペ仕様に変身する、というのが売りの機体なので、分解はあっけないほど簡単。特にハーネスのまとまりが良い。部品点数も極めて少ない。改めていい作りのものだと実感した。シンプルでしなやかで使いやすい。無論軽量、それでいて、タフ。いいぞいいぞ。
ゆっくりと時間をかけてバラすつもりだったのに、することがあまりなく、予定が狂ったので基本的なフレームが現れた時点でしばらく休憩した。
ふと、庭の隅に転がしておいたタンクを拾い上げ、分解間際のフレームに付けてみる。
うーん、もしかしたらいけるかも。ということで、ついでにノーマルシートをはめてみると……なんだか面白い感じになった。
調子に乗ってケドから買ったアルミのゼッケン風サイドカバを…と思って探してみたけど、どこかに仕舞い込んでいて見つからず、残念。
この錆びたタンクの凹みを直して(もちろん中をきれいにして)ウルトラマンペイントして、ウイングマークを貼っつけて、前後にR&Pのキャリアとランプを付けたら独特の雰囲気になるのではないか、などと想像を広げてみる。タンクの容量も4.5Lから6Lに増えるから、ツーリング車としては都合がいい。
そういえば、ふかふかで厚い何かのシートもどこかにあったな…
まあそんな事考える前にフレームの錆取りと塗装。それができたらフォークのシールを交換してOHだ。初日の今日は、手始めにばらしてからエンジンガードの歪みを修正しよう。当分楽しみが続く予定。
毎年今頃が花粉のピーク。
今年も酷いよ。
さて、借りているのは以下の2冊。
川上弘美『古道具 中野商店』(新潮社、2005)
同 『大好きな本 川上弘美書評集』(朝日新聞社、2007)
この作家の本を選んだ理由は、最近の海外(ペルーと中国)の状況を記したものにたまたま同じ名前が出てきたから。前に読んだ「センセイの鞄」は悪くなかったような記憶があるけど続けて別の作品も読みたいとは思わなかったなぁ…それで、こんなことでもないと読まないだろうし、ということでとっつきやすそうなものを借りてきた。ということは何か引っかかるものがあったということなのだろうか?
ついでに買った一冊も。
内沼晋太郎『本の未来をつくる仕事/本の未来をつくる本』(朝日新聞出版、2009)
(しまった!買う前に目を通すべきだった…)
水島治男『改造社の時代 戦前編』(図書出版社、1976)
『改造社の時代 戦中編』(図書出版社、1976)
最初のページから引き込まれる。古さは感じない。
早速2冊合わせて古書店に注文した。
どうして今まで読まなかったのか。あるいは記憶になかったのか。
今後文庫で復刻されてもいい。
太田哲男『若き高杉一郎 改造社の時代』(未来社、2008)がいい案内役となってくれてここに行き着いたのだと思う。
ふと書架を覗いたら松原一枝『改造社と山本実彦』(南方新社、2000)があった。どうやらこちらは僕とは縁遠かったみたい。
関忠果他『雑誌「改造」の四十年』(光和堂、1977)をブックマークしておこう。
母親の携帯電話に紛れ込んでいた、娘の撮った変なもの。
なんだろ、これ。わからないのが面白い。誰の顔??
確かにこっちを見ているようだ。睨んでいるみたいだ。
読書の悦楽は、僕にとっては釣りの快楽に似ている。
短編を読み比べることは注意深くアタリをみているような、見知らぬ相手との駆け引きを楽しんでいるようなものだ。その中に本格的なアタリの予感を見出すと、今度は同じ作者の長編に勝負を持ち込んで、時間や物語の顛末を気にする事無く思いのままに相手との勝負をじっくりと楽しむ。そうして長編の中に発揮される相手の力量に、またその力量を感じ取り興奮することのできる自分の状況に興奮し、酔う。
そして大勝負の末にいよいよ釣り上げられるのは何物か?
それは経験の奥底にあった、あるいは内面の片隅に埋もれていた、あるいは感情の襞に隠され埋められていた、自己の「真実」なのではないかと思う。そこに感動と共感が生じる。読書とは他者との濃密な交流であるのと同時に、またそれ以上に、自己の新しい姿を間接的に知る場処でもある。
熊谷達也の短編「オヨネン婆の島」からアタリをつけて、長編『邂逅の森』(文藝春秋社、2004)を読みはじめたところだが、このアタックの大当たりの予感に興奮している。『人生劇場』みたいな時代めいた大衆小説のうねりと現代的な小気味いいテンポが同時に感じられるのが面白い。マタギ物も、椋鳩十がらみの興味の対象でもあり、グッドタイミング。
今宵はいい夜になりそうだ。
・コンラッド〔黒原敏行訳〕『闇の奥』(光文社古典新訳文庫、2009)
・立花隆『解読「地獄の黙示録」』(文春文庫、2004)
あることのために『闇の奥』を新訳で読み直し、30年ぶりかでコッポラの『地獄の黙示録』(原作1979、観たのは2000年の特別完全版)を観た。そのついでに解読本を読んだ。まだ胸がどきどきしている。
カーツの洞穴みたいな住居の机の上に、何冊かの本が置いてあって、その内の二冊は表題がはっきりと見て取れるように、いかにも意味有りげな感じでゆっくりと撮ってあった。その一つは『金枝篇』で、もう一冊はJessie WestonのFrom Ritual to Romanceだった。〔J.L.ウェストン『祭祀からロマンスへ』(丸小哲雄訳、法政大学出版局、1981)という訳本があるらしい〕してみると、(カーツが出てきてからの)後半の象徴的なシーンは立花の説く通りにやはり父殺しのメタファーとして受け取られることを監督が望んだ、ということだろう。ちょっと頭でっかちな演出にも思われるけど、結果としてはいいかもしれない。地獄の黙示録はApocalypse Nowで现代启示录、闇の奥はHeart Of Darknessで黑暗之心…ってそのまんまやん。
・日本文藝家協会編『短編ベストコレクション 現代の小説2005』(徳間文庫、2005)
春からの準備のつもりで読んでいる。
それにしても、2005年を思い出すことができない。思いださせるような小説にも出会わない。筒井康隆(「逃げ道」)、中島らも(「バッド・チューニング」)、浅田次郎(「冬の旅」)、松村友視(「名も知らぬ女」〔これは例外で、風俗小説として傑作!〕)といったところがいくらか古めかしさを感じるけれどもやはり安定している。その他には、熊谷達也(「オヨネン婆の島」)くらいが小さな新しい収穫か。次の2006年に期待しよう。
・原田康子『挽歌』(角川文庫、1960)
桜木紫乃からこの作品へたどり着いた。こんなことでもなかったら出会っていなかった小説だと思う。ひそかな幸運を感じる。